歯と健康の基礎知識 116回
『がん治療とお口のトラブル(2)―お口の中を清潔に保つこと』
お口の中を清潔に保つことは、がんの化学療法剤による治療で引き起こされる口腔粘膜炎を和らげる上で大切です。
口腔粘膜を傷つけないような清掃が大切です。一般的な歯みがき指導ではなく、化学療法剤を使用している方に必要な清掃指導ができる歯科医院または病院で指導をうけることをお勧めします。
〈基本的な清掃〉
- 歯ブラシの持ち方は、ペングリップで軽く力を入れないで、丁寧に磨いてください。基本的な清掃方法は、バス法です。歯の健康の基礎知識第63回を参考にしてください。
- 歯についている汚れを落とすことが大切で、決して歯肉のマッサージをしないでください。
- 歯ブラシは、できるだけ柔らかいものを選んでください。
- 歯磨き剤は、なるべく刺激の少ないものを選んでください。フッ素は虫歯の予防になるのでフッ素含有の製品を選んでください。
- 痛みが強いときは、頑張らずに、出来る事だけしてください。
- また、含嗽剤も刺激の少ないものを選んでください。イソジンは刺激が強いので不向きです。
下の写真の歯ブラシと歯磨き剤は、当院のおすすめです。歯ブラシは、ルシェロ P-10(やわらかめ)。歯磨き剤は、DENT Check-Up standardです。含嗽剤としては、アズノールうがい液4%。
〈義歯の清掃〉
- 義歯は、清潔を保ってください。柔らかい歯ブラシや義歯用ブラシで汚れを落としてください。研磨剤の入っている歯磨き剤は使わないでください、研磨剤で傷がつきかえって汚れが付着しやすくなります。専用のクリーナーまたは食器洗浄用の液体洗剤を少量つけて汚れを落としてください。
- 夜間は、入れ歯洗浄剤につけておき、朝きれいに洗って使用してください。
- 毎食後と就寝前には汚れを落としてください。
- 入れ歯の下の粘膜が痛むときは、すぐに歯科医院で調整してもらってください。
入れ歯の清掃については、歯の健康と基礎知識の第58回を参考にしてください。